08/09/02 21:14:45 mrwUZifR0
「報道機関の国政に関する報道は、民主主義社会において、国民が国政に関するにつき、重要な判断の
資料を提供し、いわゆる国民の知る権利に奉仕するものであるから、報道の自由は、憲法二一条が
保障する表現の自由のうちでも特に重要なものであり、また、このような報道が正しい内容をもつためには、
報道のための取材の自由もまた、憲法二一条の精神に照らし、十分尊重に値するものといわなければ
ならない(最高裁昭和四四年(し)第六八号同年一一月二六日大法廷決定・刑集二三巻一一号一四九〇頁)。
そして、報道機関の国政に関する取材行為は、国家秘密の探知という点で公務員の守秘義務と対立
拮抗するものであり、時としては誘導・唆誘的性質を伴うものであるから、報道機関が取材の目的で
公務員に対し秘密を漏示するようにそそのかしたからといつて、そのことだけで、直ちに当該行為の
違法性が推定されるものと解するのは相当ではなく、報道機関が公務員に対し根気強く執拗に説得ないし
要請を続けることは、それが真に報道の目的からでたものであり、その手段・方法が法秩序全体の精神に
照らし相当なものとして社会観念上是認されるものである限りは、実質的に違法性を欠き正当な業務行為と
いうべきである。しかしながら、報道機関といえども、取材に関し他人の権利・自由を不当に侵害することの
できる特権を有するものでないことはいうまでもなく、取材の手段・方法が贈賄、脅迫、強要等の一般の
刑罰法令に触れる行為を伴う場合は勿論、その手段・方法が一般の刑罰法令に触れないものであつても、
取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躙する等法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認する
ことのできない態様のものである場合にも、正当な取材活動の範囲を逸脱し違法性を帯びるものと
いわなければならない。」(>>451)