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県警を退いたOBが長年の警察官人生で培った捜査技能や知識を現職刑事に
伝授する「刑事伝承官」に、七月就任した。県警は団塊世代らの大量退職が
始まり、今後十年で約三割の警察官が入れ替わる端境期にある。そんな変革の
時期に「これまでに蓄積した刑事の勘を、何とか現職の人たちに伝えないと」
と使命感を燃やす。
「昔は三度のメシより警察の仕事が好きという警察官がたくさんいた。
市民の治安に対する期待には、普通の努力ではこたえられない。だから、
並以上の努力をしてほしい」。あえて現役世代には苦言を呈す。
伝承官として伝えたいのは、まず「やみくもに通り一遍の捜査をして
終わりでなく、自分で考えて捜査する大切さ」。自分の勘を頼りに犯罪の端緒
を探し出す力や、事件の捜査法を自分なりに組み立てる能力を現役刑事に
教えたいと思っている。
常総署長時代、署員が深夜、不審者に職務質問した際、メガネを落として
逃げたことがあった。その際、署員たちに「メガネは個人情報の塊であり、
眼鏡店にデータがある。しらみつぶしにあたれば、逃亡者にたどり着ける
はずだ」と助言した。
案の定、逃亡した中学生がすぐ判明。強盗を含む四十-五十件の侵入盗を
重ねた“大物”だった。こんなふうに、自ら考えて摘発法を導き出すコツの
伝道師を目指す。
(>>2以降に続く)
▽東京新聞
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