08/08/30 02:19:51 0
・この1カ月ほど、活字メディア関係者が集まると、毎日新聞社「変態」報道事件が話題となります。
毎日新聞はネット上で「日本人は性的に倒錯してる」という趣旨の英文記事を数年に渡り配信し
続けました。この問題について同社は「英文サイト出直します 経緯を報告しおわびします」と、
謝罪と検証記事を発表しました。
メディア関係者の注目点は、この事件の「構造」と「余波」です。ネットメディアがこの問題を指摘し
ネット上で批判が広がったことによって、毎日新聞が謝罪に動きました。これまで、一般の人々が
ここまでメディアを追い込む例は、あまりありませんでした。
また、新聞・通信・出版という活字メディアは、広告の減少と絞り込み、さらには紙媒体の発行数の
減少で、経営が厳しくなりつつあります。広告代理店の営業担当者は「クライアントがネットの怒りを
気にしている。どの会社も不景気の中で広告予算を絞っているから、メディア各社の収益に影響が
出てくるかもしれない」と、話していました。
「今」を切り取るさまざまな材料を提供するのに、この事件を伝える既存メディアの報道はあまり
ありません。なぜでしょうか。
ある大手メディアの元幹部に聞いたところ、「君も分かるでしょう。怖くて誰も記事にできないんです」と
予想した返事が返ってきました。下手にこの事件にさわったら、メディアの力の低下が知られ、
スポンサーへの悪影響がでかねない─。こんな恐れが、報道を自粛させているようです。
「既存のメディアの力が低下していることが明らかとなり、同時に世論におびえ始めた」。
さまざまな論点を提供するこの事件で、私はこの点に興味を持ちました。しがらみのない
子供たちが「王様はハダカだ!」と大人社会のおかしさを明らかにした寓話と同じように、どこにも
おもねる必要がないネットユーザーがメディアの権威の低下、そして自らは「社会の公器」を
唱えながら実際にはスポンサーの意向を気にする私企業にすぎないという欺瞞を、明らかに
してしまったのかもしれません。(>>2-10につづく)
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