08/08/28 10:27:56 MJEa6XNz0
>>566
奈良時代とかに関して言えば、「漢字で表記されている」というのが最も大きなポイントだよ。
中国語という外国語で表記されているということは、その発音をある程度まで絞り込める。
漢字の発音は中国語の方言や他の言語の漢字音からかなり詳しく分かってるからね。
例えば日本語のハ行がパ行音→ファ行音→ハ行音と推移したという根拠は、
*奈良時代に日本語のハ行を記述するのにp音を持つ漢字が使われていて、
h音を持つ漢字が一切使われていない。
*古代中国語でp音を持つ漢字が日本語ではハ行で受け入れられる一方、
h音を持つ漢字はk音を持つ漢字とともにカ行になっている。
*ハ行とバ行は清音と濁音として対応するが、b音の無声音はp音である。
*pはk、tと並んでほとんどの言語にある基本的な音で、固有語にないというのは不自然。
*パ行音→ファ行音→ハ行音という変化が変化の方向として一貫していて自然。
*沖縄にハ行がパ行音の方言が、沖縄と東北にファ行音の方言が現存する。
*16世紀の宣教師による記録で、日本語のハ行は悉くFで書かれている。
ヨーロッパの言語の発音とも比較していて、「ラテン語のFとHの中間」などと書かれている。
*室町時代の謎々で、ハ行が唇を近付ける(ファ行音である)ことを題材にしたものがある。
*古代から日本語のハ行音は「唇音」とされてきたのが、江戸時代に入って「変喉」と変えられた。
*9世紀に、サンスクリット語のp音を「ハ行音に近いがもっと唇を丸める」と言及した記録がある。
などなど。日本語に関して言えば、古い発音は意外にもかなりのところまで確定している。