08/08/28 19:08:09 b02ZMFZx0
>>607
さすがに>>608の言うとおり、医療関係者は普通は知ってると思う。
>>609
高濃度の気体でも、たとえば窒素80%だと死なないわけで。
それぞれの毒性と酸素濃度によって致死的かは変わるよん。
まず高濃度のCO2の場合。
簡単に言うと、呼吸ってのは延髄にある呼吸中枢で制御されている。で、その呼吸中枢は血中のCO2濃度によって
コントロールされている。ところが、高濃度のCO2を吸入すると、血中のCO2濃度が急激にあがって過度にココを刺激してしまう。
同時にCO2が過度に溶けた血は酸性に傾くので呼吸性アシドーシスっていう状態になる。
んで、これらによって呼吸中枢に麻痺がおこり、脳幹死をひきおこす(いわゆる脳死)
他に頚動脈小体刺激による心臓血管中枢麻痺とか交感神経反射で心停止する場合もあるけど、
こっちは高濃度CO2吸入が死に至る場合の副次的経路というか、まぁほとんどの場合は呼吸中枢麻痺が致死的要因になる。
ヘリウムの場合は、ヘリウム100%だから死ぬのではなく、酸素0%の空気を吸うことによる窒息死。
O2 100%の場合は即死しない。実際蘇生では100%O2吸引で行なうやり方もある(救急究明のときの適切な酸素濃度に
ついては議論はいろいろある)
ただし、過度に高濃度吸引を続けると、高酸素血症となる。こうなると血管の内皮細胞っていう細胞にある一酸化窒素の働きが
ブロックされることなどにより(他にも理由はあると考えられてるけどこれも結構議論の対象)、末梢血管が過度に収縮して
さまざまな障害をきたす。有名なのに「未熟児網膜症」という医原性の病気があったりする。
あるいは、血中のCO2濃度が下がりすぎると今度は代謝性アルカローシスという状態になったりもする。
他に虚血状態にあった臓器に急に酸素を与えるとフリーラジカルと呼ばれる物質が発生して逆に組織を傷つけちゃったりとかね。
なんにしても、呼吸のバランスってのは結構絶妙な調節機構によって保たれているので、
そのあたりを常に意識して慎重に呼吸管理を行なうのが医療者の腕のみせどころなわけだ。