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・昭和40年代、「右手に少年マガジン、左手に朝日ジャーナル」という言葉が流行し、大人もマンガを
読むようになってから約40年。現在では「マンガを読むか読まないか、子供が自分で選択する
環境にはない。自然とマンガを読む能力が身につく時代になりました」と吉村さん。
ゲームやインターネットは操作法を学ぶ必要があり、「やるか、やらないか」の選択性があるが、
マンガに“包囲”された子供は、無意識にマンガを読む能力を身につけるのだ。
吉村さんは大学で学生に質問した。
「最初に読んだマンガは何か。そのとき、読み方を習ったか」。最初のマンガを覚えている学生は
多かったが、読み方を習った記憶は、ほとんどの学生になかった。習った記憶はないが、周囲の
環境から影響を受けて、いつの間にか覚えてしまう。吉村さんはここに「母国語の役割との
共通性」を見いだす。
「日本に生まれれば、選択の余地なく日本語を学ぶ環境にあることと同じ構造です。アンパンマン、
ドラえもんに触れないで成長する子供はいないように、マンガを読まざるを得ない環境にある。
そして子供は6、7歳までにマンガを読む能力を身につけます」
マンガがいかに社会に浸透しているか。
吉村さんは「何も音がしない状態を『シーン』と言っていませんか。無音だから『シーン』という
音もないはずです。私たちは無意識にマンガ表現を使っているのです」と指摘する。
また無自覚の「刷り込み」で、子供がマンガの登場人物をモデルに他人を評価しているのではと、
吉村さんは危惧(きぐ)する。
「ドラえもんが象徴的です。私は『ドラえもん包囲網』と呼んでいるのですが、メガネをかけて
少しドジな人は『のび太』というマンガのキャラクターをモデルに、子供は友達を評価している。
メガネをかけているだけで、『お前はのび太だ』といじめられるのではと心配しています」
(>>2-10につづく)
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