08/08/22 09:05:23 0
(>>1のつづき)
日経新聞は、判決が妥当かどうかについての直接的な言及は避ける一方、「医療事故は後を
絶たない。そこで問題になるのは、患者や家族に十分な説明をし、同意を得たかという点だ。
この事件でも家族は病院側の説明に強い不満を抱いている」と、医療側の体質に言及。
インフォームド・コンセントの重要性を改めて強調した。
前出の4紙と、立ち位置が異なっているように見えるのが、毎日新聞だ。他の複数の新聞が
事件をきっかけに「医師の産科離れが進み、医療側からは『医療が萎縮する』との反発の
声が上がった」といった経緯を紹介している一方で、毎日新聞は「こうした考え方が市民に
すんなり受け入れられるだろうか」と、疑問を投げかける。さらに、「警察権力は医療に
いたずらに介入すべきではない」としながらも、「県警が異例の強制捜査に踏み切ったのも、
社会に渦巻く医療への不信を意識したればこそだろう」と、警察の姿勢を全国紙の中では
唯一擁護しているともとれる文面だ。
もっとも、その毎日新聞も、判決直後の08年8月20日夕刊1面の「解説」では、「刑事訴追が
医療の萎縮や医師不足を招くのは、医師と患者双方にとって不幸だ。お互いに納得できる
制度の整備が急がれる」と、若干のスタンスの違いを見せている。それは他紙でも同様で、
読売新聞も、1面の夕刊の「解説」では、「『医療行為による事故で刑事責任を問うべきでない』
とする<医師側の論理>にお墨付きを与えたわけではない」とした上で、「医療界は患者の
声に耳を傾け、より安全、安心な医療の確立に向け、冷静な議論をする必要がある」と、
社説とは一転、やや医療側に厳しいと読める文章になっている。
このように各紙の間で論調が違うのはもちろん、同じ新聞でも朝刊と夕刊で論じ方が変化して
いるあたり、この問題の複雑さをあらわしたものだと言えそうだ。(以上)