08/08/21 10:44:51 0
発信箱:やはり、ほどほどが=与良正男(論説室)
前回、アテネ五輪の時に、この欄で「愛国心は、ほどほどがいい」と書いた。
国内では教育基本法を改正し、「国を愛する」の文言を入れるかどうかが政治テーマと
なっていたころ。小泉純一郎元首相の靖国参拝などをめぐり、ナショナリズムという言葉が
メディアをにぎわせていた時期でもあった。
私も愛国心は持っているつもりだが、こうした領域に政治が過度に介入するとろくなことは
ない。そんな思いから書いた。
あれから4年。今の日本は少し落ち着いて、「ほどほど感」が広がっているように見えるが
どうだろう。
ナショナリズムをあおるような勇ましい発言は慎む。それを弱腰と批判する人もいるが、
福田康夫首相がそう心に決めているであろう点は評価していい。それと、もう一つ。中国が
反面教師となっているように思える。
例の「口パク」や「56民族」の団結演出問題。そして過剰な警備。体制が違うといって
しまえばそれまでだが、国家の介入や統制が、いかに息苦しいものか。北京五輪報道に
接しながら、感じている人は多いはずだ。
無論、それで嫌中意識が強まるというのは本意でない。本紙14日夕刊で内田樹・神戸
女学院大教授が、北京五輪の失敗を願っているかのような保守系論客を「おとなげない」と
記し、「北京オリンピックには『ほどほど』の成功のうちに終わって欲しいと願っている」と
書いている。
私も賛同する。そして、中国に対しても「何ごとも、ほどほどに」と静かに進言してあげる
のが好ましいと思う。
URLリンク(mainichi.jp)