08/08/22 06:31:35 w8qJLiuHO
「このクズ野郎が!」
ある日、18歳の派遣社員が怒鳴り散らされていた。
「お前なぁ…派遣社員なんてエッタと同じだぞ。無能で汚ねぇ貧乏でよ」
「はぁ…エッタですか?」
北海道から赴任して来た派遣の彼は、この意味がわからなかったらしい。
「エッタのお前は、ドブ掠いでもしてろや」
そう派遣社員に指示する派遣先の工場の正社員であるが、
彼もまた、今年新卒で入社したばかりの18歳であった。
「派遣は落ちこぼれが成るもんよ」
同じ歳の青年達…既に成人する前から格差差別が始まっている。
北海道から来た派遣の彼は、決して落ちこぼれではなかった。
道内でも進学校と言われる高校を卒業した。彼自身は進学したかったのだが
母子家庭でもあり、あまり裕福ではない母親の為にも就職する事になったのだ。
だが彼の住む町には仕事が無かった。
『手取り35万以上可』
卒業間際に高校の恩師から、派遣会社のチラシを渡され、
彼はその教師に促されるまま、派遣会社に電話してしまったのである。
母親に毎月十万円仕送りするからね…そう誓って北海道を出た彼を、母親は寂しさと頼もしくなった息子に涙するのだった。
しかし・・・
現在手取り13万の彼は、母親に仕送りする処か
自分の生活がやっと出来る位なのである。
そして今日も同じ歳の正社員から、執拗な虐めを受けるのだった。