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タクシーのフロントガラスなどを壊したとして器物損壊罪に問われた男(27)が4月、神戸地裁であった
即決裁判で執行猶予付きの判決を受け、被害弁償をしないまま行方不明になっていることがわかった。
執行猶予が必ずつく即決裁判には、導入前から専門家らの間で「被告が罪と向き合わず、被害弁償もしなくなる」
と危ぶむ声があり、懸念が現実となった格好だ。
即決裁判は軽微な事件の捜査、公判を省力化する目的で2006年10月にスタート。
被告が起訴事実を認めるなど有罪が明らかで、執行猶予が見込まれる事件を対象に検察側が申し立てる。
原則、起訴後14日以内に初公判が開かれ、その日に判決が言い渡される。
裁判記録では、男は今年3月、タクシーのボンネットやフロントガラスを壊したとして、現行犯逮捕された。
被害額は約30万円。捜査段階で容疑を認めて被害弁償する意向を示し、即決裁判手続きで起訴された。
4月の初公判では、弁護人も弁償を約束。地裁は即日、懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡し、
男は釈放されたが、その後、連絡がつかなくなった。
最高裁によると、即決裁判は4月末までの1年半に全国で7058件あった。
主に被害者がいない事件に適用されてきたが、詐欺事件が31件、傷害事件も22件あるなど、
被害弁償が必要となるケースへの適用も増加傾向にあるという。
通常の刑事裁判では、判決まで執行猶予が付くかがわからず、被告が情状を有利にするため判決言い渡し前に
被害弁償に応じる傾向が強い。これに対し、即決裁判では、弁償したかどうかにかかわらず判決が言い渡される。
このため、制度導入の際、司法制度改革推進本部の検討会で「被告が罪に向き合わなくなる」との指摘があり、
検察内部でも「被害弁償が進まなくなる」との意見があった。
(2008年8月19日03時05分 読売新聞)
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