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引きこもりや「キレる若者」など対人関係の不適応が問題化していることを受け、文部科学省は来年度から、
人間の社会行動やコミュニケーションに関係する脳の機能や構造を特定する研究に乗り出す方針を固めた。
脳のある部位の変化や個人的特徴が、行動などにどのような影響を与えるかを示す指標を作り、
問題行動や社会性障害の予防や治療につなげることを目指す。
文科省や専門家によると、脳の生物学的な特徴と社会行動との関係は、動物では比較的解明が進んでいる。
マウスでは、ある種の脳内物質を欠くと自閉的行動を示したり、攻撃性が高まることが分かってきたという。
人間については、脳の計測の難しさなどから心理学的な手法での研究が主だった。
今回、文科省は動物での知見を網羅的に結集し、計測技術の開発も進め、人間の社会性を生み出す
脳内メカニズムの解明を目指す。
文科省がテーマを設定し公募で研究者を選ぶ。
さらに、不眠症や摂食障害、うつの増加を踏まえ、ストレス耐性や睡眠リズムをつかさどる脳幹研究も強化する。
このため、今年度から5年計画で始めた脳科学研究戦略推進プログラムを拡充し、
今年度の予算17億円から倍増以上の重点投資を計画している。
文科省ライフサイエンス課は「脳科学だけですべての問題に答えることはできないが、
問題行動や社会性障害の生物学的なリスク要因がある程度明らかになれば、予防や治療に結びつく可能性がある」
と期待する。
東北大で「脳神経科学を社会に還流する教育研究拠点」のリーダーを務める大隅典子教授は
「早い段階でリスクが分かれば、育児や教育でケアできる可能性がある。こうした指標が差別に
つながらないよう、経験や環境によって脳が生物学的に変化することなども社会に説明しながら
研究を進める必要がある」と指摘する。【西川拓】
毎日新聞 2008年8月19日 2時30分
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