08/08/04 16:23:36 0
(>>1のつづき)
だが、それでも一部の20~30代男性にとって、「今の世の中、男性として生きるのは不利」と
いう思いは根強いようだ。理由は「生き方の選択幅が、女性に比べて狭いから」ということらしい。
もと製造業のAさん(39歳)は、病気が原因で2年前に勤め先を辞め、親と同居している。
これまでに何度か再就職を試みたが、体調がすぐれずうまくいかない。しかたなく、現在は
アルバイトをしている。
「家族や世間の目線はかなり厳しいものがあります。自分は自分なりの生き方がある、とは
思っているけど、正社員でもなく結婚もしていない男を、世間は一人前と見なさないですからね」
女性なら同じような立場でも批判されないかといえば、そうとは限らないが、少なくとも風当たりは
男性ほど強くないだろう。
「派遣社員を数年続け、結婚して専業主婦になる」という女性にありがちのコースは、男性には
用意されていない。学校を卒業後、定職につかず親元で暮らす若い女性を「カジテツ姫」と
呼ぶそうだが、彼女たちは家事すらしていないうえ、ファッション誌で読者モデルになったりして、
同世代の羨望のまなざしを浴びている。同じことを男性がやれば、「ニート」と呼ばれるだけだろう。
男性ならではの生きづらさはまだある。それは、おそらく男性が「勝ち負けにこだわる生き物」
だからにちがいない。
「テストステロン」という、攻撃性をつかさどる男性ホルモンがある。男性がサッカーやプロレスを
見て興奮したり、競馬場でわめいたりするのは、このホルモンのせいだ。「成功したい」という欲望が
高まるのも、テストステロンのなせるわざ。実際、イギリスのケンブリッジ大学が金融トレーダーを
対象に調査を行ったところ、月平均値よりも利益をあげた日のトレーダーの唾液は、テストステロン
濃度が高かったという。
男性学の研究で知られる社会学者、伊藤公雄氏が挙げる男性心理の特徴とは、「優越志向」
「権力志向」「所有志向」の3つ。男性にとって、社会的な成功がいかに重要かがわかる。
それなのに、格差が拡大している現代日本は、昔に比べ「負け組意識」が色濃くなっている。
(>>3-15につづく)