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・お湯の方が早く凍るとするこの現象は、「ムペンバ効果」と呼ばれる。ムペンバというタンザニアの
中学生が1963年、調理の授業中にこの現象に気づいたという。アイスクリームの素材を熱いまま
凍らせたところ、冷ましてからよりも早かったというのだ。ムペンバは、69年に研究結果をまとめている。
番組では20℃の水が凍り始めるまでに100分かかるのに対し、100℃の熱湯は30分で凍り始めたと
するある研究論文を紹介。実験を披露していた。
これに対し、物理学者の大槻義彦早大名誉教授は、公式ブログで、読者からのメールで
放送を知ったとしたうえで番組批判を展開。ムペンバ効果については、お湯にすると分子構造が
変わってしまうことになるとして、「どうして、20~30℃熱しただけで分子構造が変わるでしょうか?」と
疑問を投げかける。そして、「どんな科学者のグループが再現実験をやっても同じ結果が出なければ、
ひとつの物理現象とは言えません」として、NHKを痛烈に批判。また、「お湯を作るエネルギー、お湯を
凍らせるための余分なエネルギーの無駄づかいを煽っている」ともしている。
一方、NHKでは、番組として問題がないとの立場だ。
「事前の予備実験を10回以上も行って、お湯が先に凍ることを何度も確かめています。また、番組では
このメカニズムについて、気化熱が関係しているのではないかといういくつかの仮説も紹介しています」
番組制作に当たっては、北大低温科学研究所の前野紀一名誉教授が監修したとしている。
さらに、「番組では未解明の部分が多いことにも触れています」と理解を求める。
物理学界では、ムペンバ効果をどう見ているのだろうか。
何人かの専門家に聞いたところ、ムペンバ効果を知る人はいなかった。
ある国立大講師は「水は高温にすると泡が出て空気が抜けます。ゴミなどの不純物があれば
それを核にして一気に凍りますが、空気も不純物と考えると、それが抜けたお湯ならなかなか凍り
にくいかもしれません」
一方、京大の小貫明教授は、効果が現れる可能性を指摘する。「お湯の場合、蒸発すると冷える
潜熱があることと、水と空気の対流によって熱が運ばれたのかもしれません」(一部略)
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