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★豪腕・奥田会長 日本の賃金を下げる(3)
給料はなぜ上がらない
だが実際には、このベア要求なしの時代にも、自動車や電機などのほとんどの大企業は
定期昇給(賃金力ーブ)を維持し、トヨタをはじめとした企業では「好業績はボーナスで報いる」との
会社方針により、ボーナス要求は毎年満額回答を得ている。
実際に大企業の正社員の収入が下がったかといえば、多くの場合そうではなかった。
企業は既存の正社員の雇用と賃金水準は守りつつ、新たな正社員を雇う代わりに賃金の安い
非正規社員の雇用を急拡大させた。賃金総額が増えない中で景気が拡大する。
それが消費の回復を鈍らせ、デフレ脱却を遅らせることにもなった。トヨタショックをきっかけとする
賃金抑制と非正規社員の増加。この二つが一体となって加速したのが02年からの動きなのだ。
非正規社員の低い賃金どうすればいいのか
パート労働者が加盟する「全国ユニオン」の鴨桃代会長には、忘れられない出来事がある。
04年にあった連合の春闘集会だ。
このとき鴨氏はパートの代表として「全国ユニオンは時総1200円を要求したい。パートの多くは正社員と
同じ仕事。皆さんも時総1200円は高いと思いますか?」と問いかけた。
会場は一瞬、凍り付いたような雰囲気になった。正社員がベア要求を見送っているときに、いくら何でも
それは無理だろうというのが会場の無言の反応だった。
連合は00年、初めてパートの時給10円増を掲げるようになった。パートの時給は900円台。
その10円アップすらなかなか実現しない。
続く