08/07/16 12:24:44 0
・くすぶり続けている火種を、大火事にすることだけは避けなくてはならない。
日韓両国が領有権を主張する日本海の竹島(韓国名・独島)である。文科省が中学の新学習
指導要領の解説書に初めて記述するようにしたことで、韓国が反発を強めている。
首都ソウルでは市民による激しい抗議集会が開かれ、駐日韓国大使が事実上の召還となるなど
波紋が広がっている。
今回の問題で関係は冷え込みそうだ。経済や人的交流など、ほかの分野に影響が出ないか
心配になる。これまで培ってきた対話や交流が途切れるような事態にするわけにはいかない。
竹島は島根県隠岐諸島の北西約160キロにある。日本は1905年、閣議決定で同県に編入した。
一方、韓国は52年、当時の李承晩大統領が沿岸水域の主権を示す線引きを行った。竹島は
その中に取り込まれ、54年からは警備隊を常駐させて、実効支配を続けている。
日本は当初、竹島について解説書に「我が国固有の領土」と記述することを検討した。だが
両国関係へ配慮し、「我が国と韓国の間に主張に相違があることにも触れ、北方領土と同様に
我が国の領土・領域について理解を深めさせる」との表現にとどめた。
竹島の記述が浮上した背景の一つに、「愛国心」を前面に出した教育基本法改正がある。
領土について生徒が政府の見解を知ることは必要としても、現時点で記述に踏み切ることには
疑問が残る。日韓は首脳会談で、「日韓新時代」を切り開くことで合意したばかりだからだ。
しかし、韓国側の対応にも問題がある。李明博政権は米国産牛肉問題などで支持率が急落した。
強硬姿勢の背景には、世論の反発をかわす狙いが透けて見える。
国交正常化の証しである1965年の日韓基本条約では、竹島問題は微妙な政治判断で
棚上げにされた。その原点に双方が立って、打開に向けた環境が整うのを待つのが賢明だ。
心配なのは、政治的な思惑などからナショナリズムがらみで竹島を語るようになっていくことだ。
それでは何も解決しない。
領土問題は国の主権にかかわるだけに一朝一夕で解決できるものではない。感情に流されない
冷静な対応を、両国政府に求める。
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