08/07/16 10:15:47 EMYc63yX0
今日、ちょうど定年退職をむかえた初老の男が
ひとり、駅前のラーメン屋で一杯のラーメンを食べている。
チャーシューが一枚のっかった一杯500円のラーメンだ。
男は30年も前からほぼ毎日昼休みこの店に通っているが、
一度も店員とは話したことがない。
当然、話す理由なども特にないのだが、今日
男は自然に自分と同年齢であろう店主に話しかけていた。
「おやじ、今日俺退職するんだ。」
「へぇ・・・。そうかい。」
会話はそれで途切れた。
ほかに特に話題があるわけでもない。
男の退職は、今日が店を訪れる最後の
日であることを表していた。
すると突然、男のどんぶりの上にチャーシューが
もう一枚乗せられた。
「おやじ、いいのか。」
「なーに、気にすんなって」
男は泣きながらラーメンをたいらげた。
些細な人の暖かみにふれただけだが涙が止まらなくなった。
男は退職してからもこの店に通おうと決めた。
そして財布から500円玉を取り出す、
「おやじ、お勘定!」
「600円。」