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☆タスマニアデビル、悪性腫瘍蔓延に種の進化で対抗か
オーストラリア南部タスマニア州に生息する有袋類タスマニアデビルの間に悪性
腫瘍が広がり、絶滅が危惧されているが、これに対抗するかのようにデビルの
繁殖年齢が下がっていることが分かった。タスマニア大学の研究チームが米科学
アカデミー紀要に発表した。
タスマニアデビルは黒い毛に覆われた肉食の哺乳類で、体重約9─14キロ。
鳴き声や獰猛な姿から欧州の入植者が「デビル」と名付けた。1996年以降、
「デビル顔面腫瘍性疾患」と呼ばれるがんの感染が拡大、2歳から3歳で死ぬ
ようになった。
これまでタスマニアデビルの寿命は5─6年あり、2─4歳の間に繁殖していた。
しかしがんの発生により、メスが2歳で子供を生んでも育てる前に寿命が尽きて
しまい、タスマニアデビルは25年以内に絶滅の恐れがあるとされていた。
タスマニア大学でデビルの生態を研究していた動物学者メナ・ジョーンズ氏は、
がんの発生後、デビルが1歳で繁殖する確率が16倍に増えたことを発見した。
繁殖年齢が下がったことで減少に歯止めがかかり、絶滅の危機が遠のくかも
しれないという。
アカデミー紀要に掲載された論文によると、哺乳類で感染症により繁殖年齢が
下がったのは、研究チームが知る限りこれが初めてのケースだという。
現在、予防のためのワクチン開発研究も同時に進められているが、ジョーンズ氏は
「われわれは種の進化を目の当たりにしているのかもしれない」と指摘している。
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