08/07/12 03:24:22 0
朝、バスロータリーから改札へと向かう出勤の人波に逆らうように、ジーンズをはき、
昼食を入れたコンビニ袋をもつ一群が降り立つ。向かうのは、ロータリーから道路一本隔てた
小公園の前の、もう一つの「バス停」だ。次々とやって来る送迎バスに乗り込んでいく。
バスの行き先が、さながら「派遣の村」だと聞いて、記者も乗った。
(中略)
バス乗り場で知り合った市川市の男性(34)は10年近くこの一帯で働く。いまは、中古パソコンを
集めて再び商品にする大手ショップの倉庫が職場だ。月に何千台と運び込まれる中古品を初期化し、
清掃して出荷する。100人近い従業員の半数が派遣で、20~30歳代が多い。
男性はネットで販売する商品を写真に撮り、機種や機能の説明文を打ち込む。
ナットやボルト、薬、お菓子、缶詰……。様々な商品の倉庫を転々としてきた。仕事はいつも、
必要な量を集めて運ぶだけの単純作業。「誰でもできる。なんの技術も身につかない」。
時給は今、1千円。3年かけて150円上がった。残業していると、ディズニーランド閉園前の
恒例の花火の音が聞こえてくる。「もう何年も行っていない。別世界ですね」
毎月の手取りは十数万円。「年金暮らしの両親と実家で同居しているから何とかやっているけど……」と
不安を漏らす。
6月下旬、中学、高校の同級生十数人が集まった。正社員は1人だけ。「何かいい仕事ない?」
「そろそろ年齢的にやばいよね」。こんな会話をかわしていると、正社員のはずの友人がおもむろに
口を開いた。「会社が倒産してね……。夜、コンビニで働きながらハローワークに通っているんだ」
(中略)
新浦安駅からJRで東へ二つ、西船橋駅の駅前では、別の男性(43)がぼんやりと地べたに
座り込んでいた。派遣会社の送迎バスが出る集合場所。この日は仕事にありつけなかった。
「ネットカフェ難民」生活が2年になる。黒のリュックには着替えのシャツとサングラス、文庫本。
これが全財産で、所持金は2円。
丸2日間、水分しかとっていないという。「今日は金曜。土日は仕事が少ないから、死んでしまうかもね」
(後略)
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