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「朝鮮事情」 シャルル・ダレ 1874年
(1979年 平凡社東洋文庫)
「両班(ヤンバン)は、自分たちのすべての特権につ
いては非常にうるさく、少しでも敬意を失するものが
あれぱ、残忍な報復を下す。
その一つの実話を次に引用しよう」
「みじめで、みすぼらしい風体をした一人の両班が、
郡衙(役所)の近くを通っていた。そこへ、泥棒を
捜していた4人の捕卒が行き会い、その外見にやや疑念
を抱き、もしかするとこれが自分たちの捜している者
ではないかと思って、ぶしつけな尋問をした。
すると、両班は答えた。
『はい、そうです。私の家までついて来てくだされぱ、
共犯者も教えますし、盗んだ品物を隠している場所も
教えます』」
「捕卒たちがついて行ったところ、この両斑は、家に
帰り着くやいなや、召使いたちと数人の友人を呼んで
捕卒たちを捕えさせ、さんざん殴りつけた。
そのあと、そのうちの3人からは両目をえぐり取り、
残る1人からは片方の目だけをえぐって、次のように
どなりつけて彼らを送り帰した。
『この野郎ども。わかったか。これからはよーく見て
歩けっ。お前らが郡衙に帰れるように、目の玉1つだけ
残してやったんだ』」