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人工ブラックホール、地球は無事か 学者「心配ご無用」
陽子の超高速衝突実験で、小さなブラックホールができてしまうかも知れないけれど、
地球がのみ込まれる危険は絶対にありません―。スイス・フランスの国境沿いで今秋にも
運転が始まる大型円形加速器「LHC」について、ノーベル賞学者らの委員会がこんな
「安全宣言」を出した。
ブラックホールは重力が強すぎて光すら抜け出せない領域。重い星が燃えつきて
縮んだときなどに、できることが知られている。地下トンネルにある1周27キロのLHCで、
かつてない高エネルギーで陽子同士を正面衝突させると、極微の人工ブラックホールができる
可能性が、理論計算から指摘されている。
しかし、「ブラックホールができると、地球や私たちの宇宙まで吸い込まれてしまうの
ではないか」と心配する声もあった。このため、LHCを開発・運用する欧州合同原子核研究機関
(CERN)が、ノーベル物理学賞受賞者らでつくる委員会に「安全審査」を依頼していた。
報告書は、「ブラックホールはエネルギーを放射しながら縮んでいく」という英国の
ホーキング博士による「ホーキング放射」の理論などにもとづき、たとえブラックホールが
できても、すぐに消滅してしまうと説明。
また地球などにはLHCでできる以上の高エネルギーの粒子(宇宙線)がしょっちゅう
衝突しており、その時にミニブラックホールが生じているかもしれないが、
地球がのみ込まれたりしていないことなどを根拠に、「実験は安全」と結論づけた。
朝日新聞 asahi.com【ワシントン=勝田敏彦】(2008年6月25日12時52分)
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