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平成18年2月17日金曜日,
成田発東南アジア行きの外資系航空会社であるV航空のB777が離陸して
約2時間半後,客室内で突然「ドカン」という大きな音がした。
Y氏はベトナム戦争の際に米軍が散布した枯葉剤が環境に与えた影響に
ついて調べるために同便エコノミークラス前方席に乗っていた。
彼女は慌しく動く客室乗務員と旅行会社の添乗員に気付き,近くを通った
添乗員に「救急法を学んでいる者ですが,人命に関わることでしたらお手
伝いいたします。」と声をかけた。
添乗員は「人が倒れまして。」と返答し,Y氏は袖を引っ張られてエコノミー
クラス後方の通路まで連れて行かれた。
倒れた乗客X氏(55歳,男性,会社員)は会社の同僚とツアー旅行に参加していた。
同僚によるとX氏は飛行機に乗るのが初めてで,搭乗後より強い緊張が続き体を硬直
させてほとんど身動きせず,生あくびを何回もしていたとのことであった。
倒れる直前,X氏はトイレに行ったがドアを閉めた直後に出てきてそのまま通路に倒れた。
Y氏が現場に駆けつけた時には,X氏は客室乗務員の男性によって
上着を脱がされ通路に仰向けで横たわっていた。客室乗務員達は戸惑うばかりで
急病人は放置されたままであった。
Y氏は直ちにドクターコールとAEDを要請してX氏を客室乗務員と共にギャレーに運んだ。
Y氏は「もしもし,大丈夫ですか?」と3回呼びかけたが反応が無く,直ちに丸めた毛布を
背中の下に入れて気道確保した。
しかし呼吸もない状態であったため,日頃携帯しているキューマスク(人工呼吸用携帯マスク)
を取り出して息を2回吹き込んだ。
吹き込みに際して抵抗はなく,吹き込み後,脈拍と体動の確認を試みたが騒音や振動で分からず
耳を心臓に直接あてて聞いた。不安もあって2回繰り返して聞いたように彼女は記憶している。
心臓の音も聞こえなかったため迷い無く両乳頭の中間に手を置き,15対2の心臓マッサージを
開始すると共に数回に渡って客室乗務員にAEDを要請した。(つづく)