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・大阪市立中学校のPTAの役員選出をめぐってもめた日本人と在日コリアンのおやじたちが、
ひょんなことからフォークバンドを組んだ。
生野区は住民のおよそ5人に1人が在日韓国・朝鮮人。大池中でも生徒の4割を占め、
朝鮮半島にルーツがある生徒は8割近くになる。
バンド結成のきっかけは4年前。PTA会長の候補者がおらず、在日2世のマンション経営、
高用哲さん(50)が立候補。ところが、一部の日本人保護者が「前例がない。会長は日本人が
務めてきた」と反発。前年度会長だった電気設備会社員、坂本明さん(57)が続投、高さんが
副会長に就いて落ち着いた。この件を機に、PTA役員と教師らは時折、お好み焼き屋で
意見を交わすようになった。
「日本人と同じように日本で生まれ育ったのに、なぜ差別されるのか」「税金を払ってるのに
選挙権がないのはおかしい」。日ごろの疑問や不満を口にした在日の男たちはやがて、家族の
ことや青春時代の思い出などにも触れるようになった。
高さんも「自らに誇りを持ちたくて42歳のとき役所で通名を抹消して本名を名乗り始めた」と告白。
一方、日本人の男たちも「商売で在日の人にだまされて以来、敬遠してた」などと打ち明けた。
ある日、酔った勢いで、「イムジン河」を大合唱した。「これをバンドで歌おう」。誰ともなく言いだした。
チャンゴ(朝鮮の太鼓)を学ぶ高さん、歌に自信のある坂本さん、若いころ通信教育でクラシック
ギターを学んだ鉄工所役員、趙政和さん(47)、ロックバンド経験のあるサンダル
製造会社経営、康典浩さん(51)らが手を挙げ、レコードを自主制作したことがある
大堀肇校長(54)ら教師3人も加わった。
05年10月に活動を始めてからこれまでに四十数回、近くの小中学校や高校、お年寄りの
集まりで「イムジン河」「岬めぐり」「戦争を知らない子供たち」「アリラン」などを演奏してきた。
06年度。前年度のPTA役員が副会長だった趙さんを会長に推薦すると、特に異論はでず、
趙さんは韓国・朝鮮人として初の会長になった。 (一部略)
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