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(続き)
海賊取り締まりは、海上保安庁と同じ権限を与える海上警備行動が発令されれば、できるが、
警察行動でしかなく、海賊撃退はできない。撃退は自衛権の発動である防衛出動が
首相から命じられ、初めて可能だ。
ただ、これも組織的かつ計画的な武力攻撃が条件になっており、海賊には適用されない。
これらは自衛権発動の要件を「わが国に対する急迫不正の侵害がある」などと、
極めて狭く解釈した結果だ。ほとんどの国は、自衛権とは国家が自国または自国民に対する
急迫不正の侵害を除去するため、やむを得ず行う防衛の権利としている。
日本がこれを適用しないのは、自衛権が明記されていない憲法の解釈によるためだ。
それに伴い、海賊などに対処する「平時の自衛権」や「自国民侵害」対応がすっぽり
抜け落ちてしまった。海自は海賊行為を座視するしかないのが現実だ。
一方で日本は海賊行為抑止を国際的に約束している。
12年前、日本が批准した国連海洋法条約第100条は「すべての国は、最大限に可能な範囲で、
公海その他の場所における海賊行為の抑止に協力する」とうたっているからだ。
6月2日には国連安全保障理事会が、ソマリア沖での海賊行為制圧に向け
「必要なあらゆる措置」を取る権限を各国に与える決議を採択した。
日本は共同提案した16カ国に連なった。
これは奇怪としかいいようがない。矛盾を抱える日本がのたうちまわり、結果として信頼を失うのは
目に見えている。海賊などへの実効的対処を含め、国際共同行動に参加する法整備が
求められるゆえんである。
(記事終