08/06/20 23:55:42 0
(>>1のつづき)
「この車、ずっと乗っているの?」
「前はスポーツカーに乗ってたんだけど、事故起こした。今度、GT-R買いたいんだ」
2人ともゲームが好きで、よくゲームセンターでUFOキャッチャーをやった。一度だけ
カラオケにも行った。歌を歌うのは好きらしく、一般の人は知らないようなアニメ系の歌を
次々と入れていた。
8月1日には2人で「浅虫温泉花火大会」に遊びに行った。屋台で食べ物を買ったり、
花火を携帯電話の動画に撮ったりして半日過ごした。2人でいる間、トモは携帯電話の
着信などを気にする様子はなく、親しい友人はいないようだった。
花火大会の翌日。「親に家を追い出された。アパートに引っ越したから来ないか」と自宅に誘われた。
部屋はアパート1階の1LDK。電気はまだ通っておらず、中は真っ暗だった。壁紙は張り替えた
ばかりらしく、清潔な感じがした。玄関にはスリッパが2足並んでいた。向かって右側にトイレと
風呂、その奥にキッチン。左側奥には居間、その手前に小さな寝室があった。
居間は10畳以上あり、フローリング床でテレビと大きなクリーム色のL字型ソファが占拠
していた。「お金には困っていないのかな」と思う一方でこうも思った。
「こんな大きなソファに1人でいたら寂しいだろうな」
寝室には青っぽい絨毯が敷かれ、しわひとつない黄緑色のカバーがかかったベッドがあった。
自炊をしている様子はなく、冷蔵庫にはその日の分のコンビニで買ってきた食べ物やプリン
などしか入っていなかった。
一度、コンビニで買ってきた缶入りのカクテルを部屋で飲んだことがあった。トモは何本か
飲んでも変わらず、酒は強そうだった。
部屋では2人でもっぱらテレビを見て過ごした。夕方にはニュース番組をみることが多かった。
バラエティー番組を見ているときなどは、トモは口元に手を当ててクスッと笑うこともあった。
(>>3-10につづく)