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・「勝ち組はみんな死んでしまえ」。東京・秋葉原の無差別殺傷事件で逮捕された加藤容疑者は
派遣社員などとして各地で働いていた。容疑者が書き込んだとされる掲示板には、職場への
不満や立場の不安定さが書き込まれていた。
加藤容疑者は静岡県内の自動車工場で、派遣社員として働いていた。塗装工程が担当で
時給約1300円。「人が足らないから来いと電話がくる。俺が必要だから、じゃなくて、
人が足りないから」。サイトには、不満とみられる内容がつづられていた。
加藤容疑者が働いていた工場で働く20代男性派遣社員は、2時間ごとにある休憩まで
立ったままでの作業を繰り返している。作業場ではずっと一人。「つまらないし、気が変に
なりそうになったこともある」
大学卒業後、就職に失敗。収入に不満はないが、ボーナスが出て、定期的に昇給する
正社員になりたいと思う。「いつクビを切られるかわからない不安が常につきまとう」
「だからって人を殺していいわけがない。大多数の人は不安を抱えながらも頑張っている」
同じ工場の別の派遣社員男性(28)は「同じ派遣社員として、迷惑な話。肩身の狭い思いを
している」と憤った。
派遣社員リサーチを続けるNPO「派遣労働ネットワーク」が派遣社員を対象にした
アンケート(06年)によると、派遣社員になった理由で最も多かった回答は「正社員として働ける
適当な企業がなかったから」で約49%。「30歳を超えてしまうとなかなか仕事がない」「次回
更新の有無が不明なので、とても不安」との声もあった。
「派遣ユニオン」の関根書記長は「派遣という働き方が事件のすべての原因ではないが、
背景としては大きい」と指摘する。関根さんによると、非正規雇用労働者の工場での作業中は
会話をする余裕がなかったり、長時間労働の後は工場の寮に帰るだけの生活だったりする
ことがある。
雇用調整の対象にされる派遣社員も少なくない。「5年10年後の自分が見えない、絶望の
中に置かれる。容疑者は歯止めをかけるものも、守りたいものもなかったのでは」(一部略)
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