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インターネット上でのブログの「炎上」が社会問題化する中、ネット上の差別表現
・差別煽動の実態と対応について考えた書籍『改訂版 実例・差別表現』(ソフトバンク
クリエイティブ刊)が、このほど出版された。著者は元小学館編集総務部長で
東京経済大非常勤講師のジャーナリスト、堀田貢得氏(67)=メディア論。
近年急増しているブログでの表現問題について、「炎上するくらいならまだいい。
今後は人権団体が糾弾に乗り出してくることもあり得る」と警鐘を鳴らす。(イザ!編集部)(中略)
インターネットが急速に普及した90年代後半からは、「2ちゃんねる」などの掲示板で
差別表現が散見されるようになった。堀田氏によれば、特に目立つのは部落差別のほか、
在日韓国・朝鮮人差別だという。
《これらの書き込みはいずれも「名無しさん」というハンドルネームで書き込まれた
いわゆる匿名性に乗じたものである。もしこれが既存メディアである出版等での
記述であったらどのような事態が起きたか想像に難くない。しかしネット、ウェブ上では
人権団体等も手をこまねくだけである》(同書)
堀田氏によれば、新聞、雑誌、書籍、テレビなど既存メディアの場合は、公表前に
社内でさまざまなチェック体制を通過していくが、ネットではこのような機能は
働かない。「こうした状況が人権侵害の要因になっていることは間違いない」という。
2002年5月には、ネット上でのプライバシー侵害などを救済するため、「プロバ
イダ責任制限法」が施行された。プロバイダーが違法な内容の情報を削除したり、
発信者の個人情報を開示する手続きなどが規定されている。
しかし、発信元の情報開示は憲法21条の「表現の自由」や「通信の秘密」、電気通信
事業法の「検閲の禁止」(3条)や「秘密の保護」(4条)との兼ね合いから、開示にいたる
ケースは削除に比べ少ない。開示請求をめぐり被害者とプロバイダー間で訴訟が
起きることもある。堀田氏は「救済の法律はできたが、ネット上での差別表現、
差別扇動は何も変わっていない」と指摘する。(>>2へ)