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・この春、さまざまな食料品と光熱費の値上げが相次ぎ、経済弱者の人たちの暮らしを直撃
している。
「育ち盛りの男の子二人だから、食費は本当に苦しい」。小学六年と三年の息子二人を
一人で育てる首都圏の介護職員の女性(39)は悲痛な声で話す。
特別養護老人ホームで、契約社員として働く。月給は十三万円。子供と触れ合える休日には
パンを焼いてだんらんに彩りを添えていたが、小麦粉の高騰で楽しみが失われたという。
食事の量を増やすため、サツマイモをフライにしていたが、値上がりでパン粉を買うのもやめた。
「朝はおにぎり、夜は簡単ないため物を作るのが精いっぱい。せめて牛乳だけは子供に
飲ませたいから、一リットルパックを週に五、六本買います」
生活保護を受けている埼玉県幸手市の男性(36)は月約十万六千円で暮らす。食費は
三万-三万五千円に切り詰めてきたが、値上がりで難しくなった。
「安売りのスーパーで素うどんを買ってしのいでいます」。男性は窮状を語る。インスタント
ラーメンもスーパーの特売で五袋二百円弱だったのが三百円以上に。「米が値上げに
ならないのが救いだが、おかずを切り詰めなければ」と嘆く。
パンやラーメン、油など広範囲な食料品の値上げの主因は、海外での小麦の生産量の減少。
原油高や環境対策で、バイオエタノール燃料の需要が高まり、その原料となるトウモロコシへの
転作が進んだ結果、小麦の生産量が世界で減少した。
家庭用小麦粉は一割前後高くなり、一キロ約二百円だった価格は四十-三十円引き上げ
られた。食パンは一個二十円程度値上げに。
穀物相場の高騰で家畜の飼料価格も値上がりし、それがチーズやバターなどの乳製品の
価格にも影響した。雪印乳業は先月、バターや国産ナチュラルチーズなどの価格を8-10%
値上げ。明治乳業もバターの値段を最大8・6%上げ、チーズなどの値上げを予定している。
一方、原油高の影響で電気・ガス料金も四月に一斉に値上げされた。電力十社はさらに
七-九月について、標準家庭一カ月当たり六十-百五十九円の引き上げを予定している。
(一部略)
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