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地方公務員の年収、民間年収より約2割高い
地方公務員の年収についての調査結果をいくつか紹介しよう。
第一に、大蔵省データを引用して作成した慶応大学のレポートによると、民間企業の平均的売上高人件費比率は
10~17%レベルにあり、地方自治体平均の人件費比率(約30%)よりはるかに低い。
第二に、厚生労働省のデータによると、地方公務員年収は昭和49年から民間年収を上回っており、平成2・3年から
乖離がより大きくなっている。大和総研(鈴木準氏)の発表では、日本の官民格差は2割程度上ぶれていて、賃金の
官民格差だけでなく人数の少なさを考慮しても、公務員賃金は1割強高い可能性があるとのことである。一般に、民間
賃金に準拠させる制度により公務員賃金は決まっている。何らかの理由でその制度がうまく機能しなければ、公務員
賃金は合理的な水準から乖離する。日本の場合は上方にぶれが生じており、コスト高の政府となっていることが伺われる。
第三に、総務省と内閣府の調査を通して次のようなことが考察される。給与の最大値と最小値の比率
(最大値/最小値)を取ると、ラスパイレス指数(国家公務員を100とした場合の公務員の給与水準)は1.08であるのに対し、
内閣府アンケート(給与削減の取組状況の評価とともに残業代等諸手当込みの平均給与も併せて尋ねたアンケート)は
1.33、賃金センサス(民間給与に関する賃金構造基本統計調査で、都道府県別サービス業の従業員数1,000人以上の
データを取っている)は1.66となっている。ラスパイレス指数では都道府県間の較差が最小になっており、賃金センサス、
つまり民間給与の較差は最大となっている。また、諸手当込みでみると、公務員給与の都道府県間の較差は拡大する
ものの、地方公務員の給与は地方の民間企業の給与に比較して、都道府県間のばらつきが小さい。
上記3つの調査結果を総合すると、地方公務員の年収は民間年収を約2割(人数の少なさを考慮すると1割強)上回っており、
地域準拠や景気準拠が充分考慮されているとは言い切れない状況にあると言える。
第一回 日本の地方財政
一橋総合研究所
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