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グリーンピース・ジャパンのスタッフによる鯨肉持ち出し行為についての法的見解
2008年5月20日
弁護士 海渡雄一
弁護士 日隅一雄
弁護士 只野 靖
共同船舶の船員らによる鯨肉の横領行為を告発するにあたって、グリーンピース・ジャパンのスタッフは、調査活動の過程において、西濃運輸のトラックターミナルから、日新丸の船員が自宅に送った鯨肉を1箱確保しました。
かかる調査方法の妥当性・違法性について、記者会見等で質問が多数寄せられております。
そこで、記者会見でご説明したことと同じ内容ですが、刑事責任に関しての法的見解を整理しておきます。
まず窃盗罪についてですが、窃盗罪が成立するためには、判例上、主観的要件として「故意」だけではなく、「不法領得の意思」すなわち「権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として、
その経済的用法に従い、利用し処分する意思」が必要とされています(大判大正4年5月21日)。
まず、前段の「権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として」振る舞う意思についてですが、グリーンピース・ジャパンのスタッフは、
共同船舶の船員らによる業務上横領罪の証拠として検察庁に告発するための証拠として確保したのであり、決して、自分のものにしようという意思はありませんでした。
また、後段の「その経済的用法に従い、利用し処分する意思」については、鯨肉の経済的用法としては、通常、食用に供したり、売却したりすることが考えられますが、
グリーンピース・ジャパンのスタッフにはかかる意思は全くなく、あくまで、業務上横領の証拠として確保する意思しかありませんでした。
事実、5月15日に東京地検に告発状を提出した際にも、
確保した鯨肉の現物を東京地検に持参して、担当検事にも、証拠として提出することを説明しています。
従って、グリーンピースのスタッフには、窃盗罪が成立することはないと考えます。