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・上海からひとりの「80後」世代(1980年代生まれ)の女性が東京に来た。その日、ぼくは
仕事仲間との花見の予定があった。日本の文化を知ってもらういい機会かなと思ったので、
彼女にも参加してもらうことにした。仲間に飛び入り参加者として紹介すると、彼女はいきなり
日本語でこんなことを言ってみんなを笑わせた。
「私、“萌え萌えジャンケン”やってみたいんです」
なんでも日本の報道番組の秋葉原特集で、メイドカフェをレポートしていたそうで、そこで
やっていたのが“萌え萌えジャンケン”。
彼女は1981年上海生まれのOさん(26)。現在、上海の日系企業に勤めている。遠藤誉さんの
著書のタイトルにもなった “中国動漫新人類”のひとりといえるだろう。大学時代にアニメ
サークルを主催、コスプレ大会など数々のイベントを企画した経験もある。
いま中国の若者の目に触れるネット上の動漫はその大半が日本産。ところが、中国政府の
「規制」があり、海賊版が野放しだから、ビジネスはなかなか成立しない。
少なくとも日本からはそう見える。
4月最初の週末の午後、ぼくは再びOさんと秋葉原駅で待ち合わせた。
かつて日本のPCメーカーのショールームが一堂に会していた通称「ラジ館」は、いまや
フィギュアやガレージキット、食玩(オマケ付菓子類)、雑貨、書籍、DVDなど、あらゆる
オタク関連の商品を扱うショップやショールームがひしめく“萌え”の雑居ビルになっている。
日本人でもあやしさを感じる雑居ビルに、彼女は一瞬怖気づいた。「大丈夫、こっちへおいで」。
なかでも驚いていたのは、6階「ボークス」の奥にある「天使のすみか」店だった。店内には
同社が製造販売するスーパードルフィー(ドール+フィギュアの造語)人形が並んでいた。
「まるで生きてるみたい!」。その精巧さに彼女は感嘆の声をあげた。
一通りのはしごを終えた後は「ホビーショップコトブキヤ」でお土産を買うことにした。
人気アニメキャラの食玩を選びながら、彼女はそっとつぶやいた。
「日本ではアニメが産業化していることがわかった。中国ではまだまだ。だけどいつの日か…」
(>>2-10につづく)
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