08/05/20 13:02:22 0
・日本では、死刑の次に重い刑が無期懲役だ。
服役して10年がすぎた時点で、更生が期待できると認められれば仮釈放の道が開ける。
毎年数人から十数人の無期懲役の受刑者が出所している。死刑との差は大きい。
この落差を埋めるため、仮釈放を原則認めない終身刑を導入できないか。こう考えた
自民、民主、公明、共産、社民、国民新の幹部議員らが出席して、「量刑制度を考える
超党派の会」を発足させた。次の国会への法案提出をめざすという。
この動きが注目されるのは、死刑廃止派と存置派の双方が集まったことだ。
きっかけは、裁判員制度である。
無期懲役では軽すぎるが、死刑にするにはためらいがある。裁判員がそうした悩みに直面
したときに、選択肢を増やしたい。廃止派のこんな働きかけに、存置派が応じた。
廃止派には、廃止の旗印をいったん降ろしても、死刑判決が増えるのを防ぎたいとの
狙いがある。一方、存置派にしてみれば、無期よりも厳しい罰を新たに設けることができる。
死刑か無期懲役か。これまでも裁判官は選択に悩んできた。山口県光市の母子殺害
事件のように、下級審と上級審の判断が分かれるのはその表れだ。終身刑制度があれば
終身刑を選んだ判決はかなりあっただろう。
裁判に素人の市民は、プロの裁判官以上に悩むに違いない。終身刑を導入し、量刑の
選択肢を増やすのは、現実的な道ではあるまいか。
もっとも、仮釈放の道を完全に断つのでは、死刑よりも残酷な刑になるという見方がある。
希望を失った受刑者を自暴自棄にさせ、更生の可能性をつぶしてしまう恐れもある。
超党派の会は、一定の要件を満たせば仮釈放の余地を認めることも考えるという。
その際は、刑務所など現場の声はもちろん、国民の意見を広く聞く工夫をしてほしい。
死刑制度をめぐっては、世論調査をすれば存続を求める人が圧倒的に多いが、世界の
流れに沿って廃止を主張する声も根強い。
今回の超党派の会は、長年の対立の構図に一石を投じた意味は大きい。終身刑を
導入したうえで、死刑が必要かどうかをめぐる論議にもつなげたい。 (一部略)
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