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・マンションの販売が全国で低調だ。大量の売れ残りを抱えた現場で今、何が起きているのか。
「来場していただいた方限定でご案内しています」。渋谷区に住む男性(31)は
ダイレクトメールを開いて目を見張った。
杉並区の新築マンションで、7790万円から6000万円台まで値引きしていたためだ。
この男性は昨春から10件以上の物件を見学したが、いずれも「5000万円台」の予算を
超す物件ばかり。「もう少し待てば、もっと値下がりするかも」と様子見を決め込むつもりだ。
好調だったマンションの売れ行きが鈍ったのは昨年後半。不動産経済研究所によると首都圏の
マンションの契約率は昨年1~6月は平均75%だったが、今年1月に52%に急落した。
買い手がつかない在庫は昨年末、5年ぶりに1万戸を突破。その後も減っていない。
ある業者は「販売が長期化すれば、借入金の金利払いや広告費、人件費などの負担は
雪だるま式に増える。値引きしてでも在庫を減らすしかない」と明かす。
東京都東村山市の私鉄駅から徒歩10分。戸数406戸の大規模マンションは昨年7月に販売を
開始したが、今年1月、当初3098万円の物件を約25%値引きし、2320万円で売り出した。
旧価格にバツ印をつけ、新価格を記したチラシを配る徹底ぶり。
「値引きは個別にこっそりやる」のが常識の業界では異例だ。
売れ残り増を見越したビジネスも活発化する。不動産仲介の新都心リアルコーポレーションは4月、
売れ残った新築マンションを投資ファンドと共同で安くまとめ買いして、元の売値よりも1~3割引きで
再販売するビジネスを始めた。
不動産情報会社「東京カンテイ」の中山上席主任研究員は「売れ残りを半値程度で処分する
マンション業者も多い」と話す。「購入層の中心である30歳代前半が、様子見になっている。
1年は価格調整が続く」ともう一段の値下がりを予想する。
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