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物語日本史(下) 平泉澄
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七十二章 明治天皇
教育勅語
憲法は発布せられ、あくる明治二十三年七月、第一回衆議院議員総選挙は行われ、その十
一月に第一回帝国議会は開かれました。しかしここに問題がありますのは、道徳の衰えであ
ります。維新以来、旧来の陋習を破り、西洋の文物を取り入れるに熱中して既に二十余年を
経、我が国固有の教えは捨てて顧みられず、新奇を求め、功利を焦り、自分の権利ばかり主
張する風が盛んにとなってきていました。天皇は、明治十九年の十月、帝国大学に行幸し給
い、洋学の進歩に反して、和漢修身の学、見るに足るもののないのをお嘆きになり、これを総
長に御下問になり、その結果、大学は二十二年に国史学科を置くことになりました。
かようなこともあって、天皇は、国民道徳の振興のために、勅語の御下賜をお考えになり、明
治二十三年十月三十日、これを発布せられました。教育勅語と呼ばれるものが、それでありま
す。