08/05/16 20:35:17 r8kXJEiB0
うまいラーメン店の見分け方。
入り口の暖簾をくぐると、人がさわるところがカパカパで、端がほつれている。
がたびしのドアを空けると、古びた下着のおやっさんがなげやりに、くぐもった声で、 「いらっしゃい」 という。
壁と天井は煤と油がこびりついて、てかてか光っている。
くたびれた紙に手書きの品書きがはってあるが、換気扇に向かう風でこきざみにゆれている。
カウンターはあちこちはげて、ほこりがそこを埋め、隅っこにチャバネゴキブリがおとなしくとまって、静かに触手を動かしている。
おやっさんは億劫そうに釜をかきまわして、麺の残りを金網ですくいとり、がちゃがちゃ音をたてて残嵯入れに落としこむ。
おばさんは髪も梳かずに、甲高い声で、なじみらしい世間ずれした女客と人の悪口に熱中していたが、
今気付いたような顔をして、うっすらとラードがこびりついたコップにゴム臭い水をもってくる。
やっとラーメンができた。
欠けたどんぶりにラーメンを入れ、おばさんがしわしわの指を突っ込んで出す。
しわのひとつひとつにも、爪にも黒い垢がこびりついている。
どんぶりを置いたはずみで、汁がこぼれてツーと流れ、カウンターが傾いていると知る。
使い古しで不揃いの竹のわりばし。
ラーメンはこういう店で食べると、実にうまい。
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