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・聖火リレー騒動は中国のナショナリズムの高まりを感じさせました。日本のネット右翼の
動きも気になります。政治はナショナリズムとどう向き合っていくべきか。社会学者の
大澤真幸さんと考えてみました。記者・清水 孝幸
清水 まずナショナリズムって何でしょうか。国家主義とか民族主義とか訳されますが。
大澤 誰でも自分が生まれ、育ったところに愛着を持ったりします。ナショナリズムは
そんな郷土愛とは違います。
日本人だって一億人以上いますよね。個々の日本人は互いに知らず、生涯会うこともない。
ほとんど知らないような同胞のために、時には命を投げ出すような極端に強い帰属意識を
持つのがナショナリズムの特徴です。
清水 ナショナリズムは強まっていますか。
大澤 経済も情報も人の移動も、国境がそれほど問題にならなくなって、多くの識者が
ナショナリズムは風前のともしびだと思っていました。でも、現実は弱まるどころか、
民族的で過激な「現代のナショナリズム」が勢いを増しています。僕はナショナリズムの
季節外れの嵐と呼んでいます。
グローバリゼーション(世界の一体化)で客観的に均質化は進んでいるのに、主観的な
違いに敏感になって、気になりだすと、もう耐えられない。それが現代のナショナリズムです。
清水 どんな特徴がありますか。
大澤 かつての「古典的なナショナリズム」は、村とか藩とか、比較的狭い範囲の共同体に
帰属意識を持っていた人が、日本という大きくて抽象的な共同体に所属しているんだと
考えるようになることでした。
これに対し、現代のナショナリズムは国家という大きな単位から、より小さな民族という単位へ
帰属意識が変わる。向かっている方向がまったく逆です。
清水 旧ユーゴのコソボ独立は典型ですね。日本でもナショナリズムは強まっていますか。
大澤 そう思います。でも、ものすごく強いかというと、そこは微妙です。意識調査によると、
日本人の日本への自信は一九八〇年代の初頭をピークに下がっています。若い人ほど
自信を喪失し、若者の間にナショナリズムが強いとは証明できません。(>>2-10につづく)
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