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(カム地方の町チャムドでの)チベットの中央政府から派遣されてきた兵士や官吏の横暴さである。旅の途中私たちは暴政から逃れてきた避難民に幾度も出会った。
この町ではチベット人兵士が大っぴらに威張りふんぞりかえっている。
(中略)
(木村肥佐生とあるカムパの農民とのやり取り)
「わしや女房がどう考えようと、誰も気にしやせんよ。」彼は諦めきった口調だった。
「兵隊には逆らえませんや。文句を言えば必ず畑を取り上げられる。わしには、この畑しかないんで。」
「彼らはそんなにひどいことをするのかい。」それまで見聞きした事からすると返答は明らかだった。
「兵隊なら何でもやりたい放題、欲しいものは取り放題って寸法でさあ。兵隊たちがやってくると泣く子は黙り、
女は隠れる。
兵隊たちがカム地方に赴任することを何と言ってるかご存じで?」私は頭をふった。
「正月をおくりにいくと言って喜ぶんでさあ。役人は一生食えるだけのものをカム地方滞在中に住民から絞り上げようとし、
兵隊たちはわしらの女を取る」
(中略)
「中国人が攻めてきたらどうするつもりかい?」
「中国人の味方をしますよ。」彼はためらうことなく答えた。「二十年以上前、わしの父親がこの地から中国人を追い出すためにチベット軍の味方をしたようにね。
中国人はいつでも入ってこられますよ。国境の向こう側のチベット人はずっといい思いをしてまさあ。」
「チベット偽装の十年」 木村肥佐生 中央公論社より
ちなみに、(毎晩のように兵士に妻を強姦されてる)この農民がいう「国境の向こう側のチベット人」
というのは、パンダの生息地である四川省に編入されたチベット地域の住民のこと。
避難民が向かっているのも、その辺り。