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・「突然、死の恐怖にさらされた。後遺症はないのか」。今年2月、硫化水素自殺に巻き込まれた
東京都渋谷区の女性会社員は今も、不安が頭から離れない。
3階建てマンションの1階に住む無職男性(27)が自殺を図った。3階に住む女性会社員は
強い硫黄のにおいで目覚めた。激しい頭痛や吐き気に襲われ、2人の子も泣きやまない。
駆けつけた警察官とともに1階の部屋のドアを開けると、ジャージー姿の若者がソファに倒れ、
床に転がった鍋から煙が噴き出ていたという。
「硫化水素自殺を図る人に、他人の幸せまで奪う権利があるのか。私たちのような人が
これからも出ると思うと悔しい」と言葉を詰まらせた。
硫化水素自殺は、1月ごろからネット掲示板で手口が紹介されるようになった。3月ごろから
自殺件数が増え、メディアも大きく扱うようになった。4月に入って激増し、中旬以降はほぼ連日
発生。3月以降に少なくとも39件47人が死亡した。家族が巻き添えで亡くなったケースもある。
報道が自殺の連鎖を誘発する場合があることは知られており、日本自殺予防学会は今月18日、
報道機関に▽詳しい方法を紹介しない▽相談機関などについての情報提供を併せて行う
--などの配慮を求める緊急アピールを出した。
ただ、一昨年10月に国立精神・神経センター内に開設された自殺予防総合対策センターの
松本俊彦・自殺実態分析室長は「今回はメディアにも比較的慎重な扱いが見られたが、
はるかに早くネットを介した情報が広がった」と指摘する。
03~04年、インターネットで仲間を募り、自動車内で一酸化炭素自殺を図る「ネット心中」が
問題化した後、自殺サイトの監視・管理強化や検索機能を使った自殺防止サイトへの誘導が始まった。
しかし、自殺サイトの閉鎖や書き込み者の特定は、表現の自由の問題もあり簡単ではない。
高知県香南市の市営住宅で23日に自殺した中学3年の女子生徒(14)は、硫化水素による
自殺方法を「テレビで見て知った」と書き残していた。県警香南署によると、生徒の自宅には
パソコンなどの機器はなく、ニュースなどから知識を得たとみられるという。(一部略)
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