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○現代・湯の国事情：／１ 伊香保 すみ分けへ、進む二極化 ／群馬
敷居をまたいだ瞬間、真新しい木の香りが鼻孔をくすぐる。ふすまを開け
ると、最高級の羽毛布団に包まれたベッド。さらにガラス一枚を隔て、山々
を一望できるかけ流しの露天風呂が姿を現した。
伊香保温泉の奥地、創業４００年の歴史を持つ老舗旅館「福一」が今年１
月にオープンした別邸「諧暢楼（かいちょうろう）」の一室。福一の２、３階
を改装、調度品から食事までぜいを尽くした。宿泊費は最高で１人１泊２
食付きで１５万７５００円、値段も「超高級」だ。
ターゲットはずばり団塊世代の個人客。高橋佑太マネジャーは「富裕層
にワンランク上のもてなしを提供したかった」と話す。雑誌などで紹介され
話題となり、既に年末まで予約が入っている。
ここ数年、老舗の「かのうや」や「ホテル木暮」、「古久家」なども、相次ぎ
高級フロアを新設した。通常の倍以上の料金設定にもかかわらず稼働率
は上々という。
背景には、客層の移り変わりがある。バブル期ににぎわいをみせた宴会
付き団体客は去り、今は家族連れなどの個人客が主流に。お金も時間
も余裕のある団塊世代を意識した旅館が「高級化路線」を打ち出すのは、
ある意味で必然ともいえる。
一方で、若い家族連れをターゲットに、安価な料金設定の「お手軽路線」
を打ち出すホテルも増え、伊香保では二極化が進んでいる。「伊東園ホ
テルグループ」（東京都）が０４年に買収した「伊香保グランドホテル」は、
ファミリー向けに１泊２食付きを７８００円で提供。旅行会社を通さずに仲
介料を浮かせ、食事をバイキングにすることで人件費を削り込んだという。
福一の向かいに０７年にオープンした「大江戸温泉物語 湯屋 伊香保」
は、平日１泊２食付き８４８０円。福一とはまた違ったにぎわいをみせている。（以下略）URLﾘﾝｸ(mainichi.jp)