08/05/01 03:05:01 0
(>>1のつづき)
巨額の制作費をかけたハリウッド映画で、名匠スコーセッジの作品。音楽はフィリップ・グラス。
話題にならない方が異常だ。この時、私はチベット問題を日本人に伝えることを拒む「何か」の
存在を強く意識した。
そもそもチベットが独立国であったことを知る人が、どれほどいるだろうか。1949年に中華人民
共和国が成立すると、翌年には人民解放軍がチベットへ侵略。1951年にラサを占領し、
8000あった寺院のほとんどを破壊し、多くの僧侶、民衆を惨殺した。そんな文脈の中で1959年に
ダライ・ラマ法王は、多くの民衆の警護を受けながらインドへ脱出し、チベット全土では
侵略への一斉蜂起が起きた。だから、毎年3月10日に世界各地でチベット人や支持者が中国への
抗議活動を静かに行っているのだ。今まで120万人のチベット人が虐殺され、そして、現在進行形でも、
拷問、虐殺が続いている。
今年の3月10日もラサ市内やチベット各地で静かな抗議活動が行われていたのだが、装甲車が
僧侶の列に突っ込み、多くの死傷者を出した。3月14日に大きな騒動に発展するまでの4日間、
チベットの人々は耐えに耐えていた。この50年以上の間に、言葉を奪われ、宗教と伝統を破壊尽くされ、
漢民族の大量流入による間接支配の過酷さと民族浄化と呼ぶにふさわしい政策に耐えてきた人々が、
想いを爆発させるまで4日かかった。
もう1つの聖火リレーとは、チベットを支援する人々の心のリレーだった。ある時は聖火を
奪おうとする「妨害」行為になったが、翻るチベット国旗とスローガンを叫ぶ人の波がアテネから
世界中を巡回した。それはまるで巡礼者のように、アジア圏にリレーが入ってからは長野も覆った
「五星紅旗」の波に蹂躙されるまで、多くの人々が心を1つにして、今、暴力と圧制によって
消滅しようとしている1300年の文化と、命を絶たれようとしているチベットの人々へ勇気を送る
メッセージとなったのだ。
パリではエッフェル塔、サンフランシスコでは金門橋に、「チベットに自由を」というスローガンが
掲げられた。キャンベラでは、飛行機が「FREE TIBET」という飛行機雲を描いて見せた。
(>>3-10につづく)