08/04/15 13:05:07 0
ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」(李纓(リイン)監督)上映をめぐる
騒動が続いている。「反日的」との批判が独り歩きし、東京、大阪の5館で予定していた12日からの公開が中止に追い込まれた。
その後、全国約20館での公開が決まりつつあるが、火種はくすぶったまま。事態の展開は予想外で、
映画の関係者は一様に「こんなことになるとは」と驚いている。私も同じ。
混乱を招いたのは、作品とかけ離れた、実体の定かでない「空気」を読み過ぎたためだと思う。
映画は、第二次世界大戦中に、靖国神社境内で軍人に贈られた
「靖国刀」を鍛造した老刀匠と、神社を訪れる賛否両派の人々を映し出す。最後は、
中国人捕虜惨殺の写真や戦時中の映像で締めくくられる。
第62回毎日映画コンクールのドキュメンタリー部門で、
昨秋の最終選考に残った7作品の1本だった。評価は高かったものの未熟さも指摘され、
受賞には至らなかった。私も映画担当として選考にかかわり、
映画を見たが、労作だが欠点も多いというのが率直な感想だ。
デリケートな素材に果敢に踏み込んでいるものの、編集や構成に難があり、
素材を生かしきれていない。反日的というほど激しい主張もなかった。
こんな事態にならなければ、大きく取りざたされることはなかっただろう。
(略)
「靖国」は今、最も注目を集める作品になった。したたかに、
逆境を好機に転じればいい。関係者への配慮は欠かせないにしても、
何とか監督の思い通りの形で公開してほしい。映画がヒットすればこの空気も吹き飛ぶだろう。
そしてどんな形であれ関心をもった人は、映画館に足を運ぼう。議論と批判はそれからだ。
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