08/04/13 10:07:17 0
>>2からの続き
山際 ダライ・ラマに対する尊敬心や宗教心が、チベット人にはまだ根付いているんですね。
野口 そうですね。しかしそれはイラスム教徒的な盲目心ではありません。ダライ・ラマとは
チベット仏教の象徴であると同時に、チベットそのものの象徴です。長きにわたってチベットは
中国に支配され、虐げられ、苦しんできた。国力が違いますから、まともに戦っても勝てません。
山際 チベット独自の文化や伝統を宗教も含めて根絶やしにし、チベットの生息空間をなくそうと
している。中国の同化政策とは、一言でいえば、「魂を奪う政策」です。チベットの寺院では中国の
愛国主義教育、つまり中国共産党を讃える教育まで行なっているという、驚くべき実態がある。
野口 「共産党バンザイ」という文言が、町中の至るところに書いてありますからね。しかし
最後の最後、その文化の部分でチベット人はダライ・ラマに寄り添い、必死に抵抗している。
耐えてきた彼らがついに爆発した。それが今回の騒乱です。
山際 チベットはもともとは独立国家です。全人口は600万人程度なのに、中国によって100万を
超えるチベット人が虐殺されてきた。家族が1人も虐殺の目に遭っていない人は見当たらない
そうです。そのような扱いを受けても、彼らはけっして武力で抵抗しない。そんなチベット人に対し、
中国政府は、「人民戦争だ」と言い放った。戦争状態だから、銃撃し、殺してもよい、としたのです。
野口 中国はいつもそうで、ナンパ・ラ峠でチベット人への銃撃が話題になったときも、初めは
事実すら認めませんでした。しかし映像が世界に行き渡ってしまうと、「チベット人が危害を
加えてきたから、正当防衛で撃った」と訂正した。今回も同じで、最初は「発砲していない」と
いったでしょう。それが次には「警察が身の危険を感じ、正当防衛として威嚇射撃をした」と。
山際 アメリカではリチャード・ギアやスティーブン・スピルバーグなど、数えきれない人が非難の
声を上げています。しかし日本では、町村官房長官が「基本的には中国の国内問題というものの、
双方の自制を求める」という、何がいいたいのかよくわからない発言を行なった程度でした。
続く