08/04/11 21:08:12 0
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量子暗号など原理段階にとどまる基礎研究を除くと、現代の暗号研究は関数探しの競争となっている。
RSA暗号は素数のかけ算と、その逆の素因数分解という1種の関数を利用した暗号方式だ。これは楕円曲線暗号や
ElGamalといった公開鍵暗号方式か、DESやAESといった共通鍵暗号方式かを問わず同じで、暗号化には何らかの関数を使う。
CAB方式では、その関数自体が無限個の中から利用者が自由に選べて、いつでも変えられるのだという。
「例えば、xのm乗というのも1つの関数ですし、2xも関数です。実際には逆関数の計算が極めて難しい関数の集合を利用して
いますが、こうした関数からなる無限集合から鍵となる関数をピックアップします。盗聴者の探索しなければならない鍵空間は
無限大ですから、鍵を推定できる確率はゼロです」(大矢教授)。
CAB方式は、適当な初期値を取ることで任意の長さのランダムなバイナリ列を生成するアルゴリズムや、公開鍵分配アルゴリズム
からなる。CAB方式で使われる公開鍵配分アルゴリズムは、Diffie-Hellmanやそれらの変形を包含する一般化とは異なる、はるかに
複雑性の高いものだという。「ほかの公開鍵暗号方式は、表現方法や公開鍵の数を変えることでCAB方式に含まれることが数学的に
証明されています。ほかの公開鍵暗号方式はCAB方式の特殊な場合なのです」(大矢教授)。
また鍵だけでなく、暗号に使う関数自体も毎回異なるため、攻撃者が任意のテキストを入力してそのアウトプットから関数や
パラメータを推定する攻撃、いわゆるクリアテキストアタックもCAB方式暗号では無効だという。(中略)