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<チベット問題、対応苦慮する福田政権>
中国チベット自治区の騒乱をめぐり、福田政権が難しい対応を迫られている。福田首相は「日
米同盟とアジア外交の共鳴」を掲げるが、「人権問題」に敏感な欧米諸国が中国政府を批判
しており、双方の板挟みになる可能性がある。5月の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席の来
日を控え、中国製冷凍ギョーザによる中毒事件に続く難題。ただ、中国側が「内政問題」と主
張している以上、日本側からは手を出せないのが実情だ。
「(北京五輪について)フランス外相が言ったと聞いているが、そういう影響を与えない形で中
国と関係の方が努力することが必要だ」。首相は21日、記者団に、フランス外相が北京五輪
開会式のボイコットの可能性を示唆したことに触れつつ、日本としては一線を画す考えを示した。
日本政府は、50を超す多くの民族を抱える中国政府は独立につながる民族運動には神経質
にならざるをえないとみる。「(中国側が)絶対譲歩できない問題で攻めても日中関係が悪くな
るだけ。安倍、福田両政権でようやく回復した関係を壊すべきではない」(政府関係者)との考
えが強く、事態が沈静化するなら、ことを荒立てたくないというのが本音だ。
首相は21日、胡主席の来日に関連して「必要なことがあれば意見を申し上げることもあるか
も知れないが、状況次第だ」と記者団に語った。政府内には「日本は中国と相互依存関係に
ある。ギョーザ事件で、中国とはけんかできないことがはっきりしたのではないか」(外務省
幹部)との見方もあり、首脳会談での扱いは難しそうだ。
一方、政府は騒乱発生直後の15日、邦人保護のため在北京大使館員を現地に派遣しよう
と中国政府に打診したが「内政問題」を理由に拒否された。携帯電話での情報収集や帰国
した旅行者から話を聞くなどして、実態把握に追われているが、首相周辺は「間接的な情報
に頼らざるを得ず、状況がよく分からない」と困惑している。
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