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中国チベット自治区ラサで大規模な暴動が起きた。デモをするチベット仏教の僧侶や市民らと治安部隊が
衝突して多数の死傷者が出た模様だ。暴動はその後、甘粛省や四川省などのチベット人居住区に拡大し、
流血の事態は深刻さを増している。
戒厳状態にあるラサでの死者は八十人とする報道もある。事実なら一九八九年のラサ暴動の死者十六人を
超える。暴動の三カ月後に、学生・市民の民主化要求が軍の武力行使によって封じられた「天安門事件」が
起きた。流血の連鎖の不安はぬぐえない。
当時のチベット自治区のトップだったのが胡錦濤国家主席だ。胡主席は当時、武力による強硬策で暴動を
鎮圧、その功績で中国共産党の序列を駆け上がり、トップにまで上り詰めた、とされる。北京五輪開催を八
月に控え、国際社会の目が中国に注がれているこの時期に、よもやこれ以上の武力行使はあるまいが、
中国指導部の動向からは目が離せない。
五輪の開催国としていま一度思い起こしてほしいのは「あらゆる民族差別なく、友情、連帯を通して、平和で
より良い世界をつくる」という五輪の根本原則である。武力による制圧とこれ以上の流血は「平和の祭典」の
開催国にそぐわない。
米映画監督スティーブン・スピルバーグ氏がスーダン・ダルフール問題への中国政府の外交姿勢を不満として、
五輪の芸術顧問から退いた。大気汚染や食の安全への不安など五輪の置かれた状況は厳しい。
国際社会は人権や民主化問題に敏感だ。チベットでの流血が長引けば、五輪への出場をやめる動きが顕著に
なることは容易に予想できる。
日本政府は二期目をスタートさせた胡体制が道を踏み誤らないよう、武力の行使で問題の解決はできないこと
を強く訴え続けるべきだ。
北京五輪を好機ととらえ、ノーベル平和賞を受けたダライ・ラマ十四世との対話は図れないのか。事態収拾を
期待したい。
ソース
沖縄タイムス URLリンク(www.okinawatimes.co.jp)