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★弁護士いらず―本人訴訟必勝マニュアル [著]三浦和義
■三浦事件で週刊誌ジャーナリズムは何を学んだか
ロス疑惑事件といっても、ピンとくるのは40歳以上の人だけだろう。27年も前の事件、しかも日本では
無罪が確定した事件で、アメリカ当局が三浦和義氏逮捕とはびっくり。もっとも、当人の周辺はアメリカに
行くのを止めていたというから、三浦氏にはある程度予想されたことなのかもしれないれども。
無罪判決に関わった判事や検事の気持ちを聞いてみたい。「オレの顔に泥を塗りやがって」とか、
「ほら、やっぱり」とか思うのだろうか。
三浦和義『弁護士いらず』は、本人訴訟のマニュアルである。氏がなんでこのような本を書いているかと
いうと、ロス疑惑報道でマスコミ各社を相手に損害賠償請求訴訟を起こしているからだ。その数
なんと550件近く(内、本人訴訟は470件余)、しかも勝訴率8割!本誌週刊朝日も被告となって
賠償金を支払っている。訴訟で培ったノウハウを紹介したのがこの本。大変わかりやすく実用的である。
本人訴訟はむずかしくない、らしい。なにしろ三浦氏は拘置所という不便な所にいて裁判を起こした。
もしも今回、三浦氏がアメリカで有罪になったら、これら550件近くの裁判はどうなるのだろう。
マスコミは賠償金を払わなくてもよかったことになるのか?などと考えながら読んでみた。
たぶん、仮に三浦氏が有罪だったとしても、あのときの過熱した報道はアウトだと思う。いくら重大事件の
刑事被告人だからといって、マスコミがよってたかってあることないこと書いて、リンチにするのはマズい。
疑わしきは被告人の利益に、というのは法廷だけでなく広く社会全体に適用されるべきだ。
三浦氏逮捕の報を受けて、1部の週刊誌は大はしゃぎである。これで賠償金を取り返そうというつもりか。
あるいは4半世紀前の雑誌黄金時代よもう一度、という気分なのか。だとすると、週刊誌ジャーナリズムは
何も学んでいないことになる。はしゃいでも周りはシラけるだけですよ。
[評者]永江朗
[掲載]週刊朝日2008年03月21日増大号
URLリンク(book.asahi.com)