08/03/17 15:17:40 fACqstdo0
◆この本面白そうだな。孫文の「中華ナショナリズム」それ自体が、中国を
◆崩壊させていったという視点。 ネトウヨ諸君もたまには本読めや
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【研究書】清帝国とチベット問題 多民族統合の成立と瓦解
平野 聡著 :名古屋大学出版会
URLリンク(www.bk1.jp)
サントリー学芸賞(第26回)・「中華」的価値とは一線を画す内陸アジアから
東アジアにまたがる多民族統合を実現した清帝国の統治構造と崩壊過程を、
チベット仏教文化と儒教文化の緊張関係を軸に、政治・思想史的視点から
描き出した論考。
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しかし、このシステムはもとより諸民族間における何らかの近代的な「合意」や「制度」に
支えられたものではなく、清朝皇帝自身の独裁者としての正統性や権力に支えられたと
いう意味で脆弱なものであった。それゆえ、近代になりイギリスを始めとした列強が交易や
条約締結のためチベットや新疆などといった地域への清朝の「宗主権」を確認する、という
事態を招いた時、このシステムは矛盾を露呈し崩壊するしかなかった。すなわちチベット・
新疆・モンゴルは清朝による「宗主権」の確認と強化、という自体に反発し独立志向を強め、
また諸民族の自治を尊重し利害を調停するものとしてあったはずの「王朝」の正統性は、む
しろ孫文に代表される漢民族中心的な「中華ナショナリズム」に回収されていくのである。
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URLリンク(www.suntory.co.jp)
本書後半は、この秩序がどのような形で弛緩し、西洋諸国との直接的対決の過程で清帝国が
崩壊するに至るかが、これまた論争的な形で議論される。そこでは、現代にいたるチベットを
中心とする民族問題の起源が、清帝国の秩序の崩壊の一面として論じられるのである。