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(続き)
実は、大日本蚕糸会の蚕糸科学研究所が、元年に絹で生分解釣り糸を完成させていた。
元研究員の小松計一さんは「手術用縫合糸をウレタンなどで防水加工した。強度や細さは
ナイロン糸と同等だが、コスト面で商品化されなかった」と話す。
環境意識が現在のように高まっていれば、市販されていたかもしれない。
一方、釣り針は、針先に「返し」がなく抜けやすいスレ針の普及を、NPOバーブレスフック(スレ針)普及協会
(埼玉県入間市)が呼びかけている。「人間や動物に刺さってもすぐ抜けるので傷が軽く済む。バレ(外れ)を
心配する人が多いが、何度もの実験で釣果に差がないことがわかった」と事務局の吉田俊彦さんは説明する。
釣り針最大手がまかつ(兵庫県西脇市)も「スレ針の種類を増やしているが、売り上げは全体の1割以下」
と広報課の岡田康作さん。「水中で早くさびて分解するよう、強化メッキをやめるなどの配慮もしている」。
また「針は一度使うとさびて刺さりが悪くなるので、昔は石の下に置いていく人が多かった。
こうした悪習をなくすため、包装に持ち帰りを表記したり、釣りベストに持ち帰りポケットを付けたりもしている」という。
放棄釣り糸・針は人命にもかかわる。第11管区海上保安本部(那覇市)によると、3年に沖縄県読谷村の
残波岬沖をグループでダイビング中の40代男性が、海底の釣り糸に絡まり水死した。
NPO沖縄県ダイビング安全対策協議会(読谷村)事務局長で写真家の安納昭則さんは
「現場付近は海底に引っかけるアンカー釣りの糸が大量に放棄されて束になっている。
非常に危険で、サンゴも育たない。また、1年で20~30キロの鉛の重りがたまる所もある」と嘆く。
被害を繰り返さないためには、一般の観光客も含め、ごみを持ち帰ることが大切だ。
(記事終)