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「法がこのような居住地主義及び居宅保護の原則を採用した趣旨は,要保護者がその居住
地を有する限り,そこにおける継続的,安定的な生活に着目して生活状態,資産状況等の
事項を把握し,それを基に必要な扶助を与えるとともに自立の助長のための措置を講ずる
こととしたものと考えられる。
以上のことに法2条の規定をも考慮すると,国外に現在している被保護者であっても,
法19条所定の「居住地」に当たると認められる居住の場所を国内に有しているものは,
同条に基づき当該居住地を所管する実施機関から保護の実施を受けられると解すべきであ
る。このように解しても,その居住地における被保護者の生活状態,資産状況等の事項を
調査して把握し,その結果に基づいて所要の保護の変更,停止又は廃止を決定し,また,
自立の助長のための措置を講ずることは可能であるから,保護の決定及び実施に関する制
度の趣旨が損なわれるとはいえない。
もとより,被保護者が,当初の居住地を離れて国外に滞在し続けるなどした結果,国内
に居住地も現在地も有しないこととなった場合には,保護の停止又は廃止の決定をすべき
であるが,被上告人がタイに滞在していたとする期間につき,本件住居を被上告人の居住
地ということができなくなり,被上告人が国内に居住地を有しないものとなっていたなど
というような事実は,上告人も主張立証するところではない。
そうすると,原審の前記判断は正当として是認することができ,論旨は採用することが
できない。」(>>365)