08/02/23 18:02:34 zhrRgrkT0
「オオノ獣医です。現在、マサコさまは東宮で加療
中ですが、その事情について私が説明させていただきます」
どうももったいぶっているな、と陛下は思う。
「どんな病気なのかね」
「適応障害によるひきこもりです」
「ひきこもりだと!?」
「はぁ、挫折感が異常な昂奮をひき起こし、脳神経が一時的にマヒ
するのです。十五分もすればまた見れるようになりますが、このさ
き、何度でも発作が起きる可能性はあります。原因が精神的なもの
ですから、それを取り去らないかぎりは……」
「それはどうするのだ?」
「逆らってはいけません。挫折感や敗北感を与えてはいけません。
誰もが彼の言うことにしたがい、あらゆることが彼の思うように運
ばなくてはなりません」
「……本気で言ってるのかね、獣医?」
「これはわがままいっぱいに育って自我が異常肥大した幼児にとき
として見られる症状です。したがって善悪が問題ではありません。
自我と欲望が充足されることだけが重要なのです。したがって、皇族
方が非礼を謝罪なさり、粉骨砕身して彼女の外国訪問を実行し、料理を
食べて彼が賞賛の的となる……そうなって初めて、病気の原因が取り
去られることになります」
「ありがたい話だな」
陛下は怒る気にもなれなかった。