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昨年のキーワード「偽装」まがいと揶揄される「スクープ」が、1月3日付朝日新聞の1面を飾った。
「IHI虚偽決算の疑い」「課徴金最高17億円も」と題し、年明け目立った特ダネがなかっただけに
ひときわ目を引いた。しかし、記事内容は見出しとそぐわないシロモノだった。意図的な粉飾が
明らかになったかのような書きぶりでありながら、文中にはそれを示す新事実はなくIHIが
昨年自ら公表した決算訂正の内容を焼き直しただけだった。
「証券取引等監視委員会が本格的な調査に入る」と、あたかも新事実であるかのように
書かれているが、「監視委が決算訂正した企業を調べるのは、当たり前のこと」(金融庁関係者)。
「課徴金最高17億円」の見出しに至っては、株式時価総額をもとに算出される課徴金の計算式を
使って朝日が計算したもので、監視委が計算した数字ではなかった。しかも、他マスコミが
小さくではあるが、すでに報じた内容だった。
「なぜ、あれが新春1面トップになるのか。特ダネが出ない焦りだろう」とライバル紙のデスクも
同情する。実際、他マスコミはどこも追随しなかった。
が、笑い話では済まなかったのはIHIの株価。年明け早々、急落したのだ。インターネットの
掲示板にも、不安にかられた投資家らの書き込みが殺到。IHIの株価は決算訂正や監理ポスト入りで
下落しており、新事実がないのに追い討ちをかけたことにならないか。本誌1月号が報じたように、
朝日が行った「新聞読者基本調査」でも、朝日への信頼度が急落している。日本のクオリティー
ペーパーを自負する朝日には、本物のスクープを期待したい。
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